弁護士法人杜協同 阿部・佐藤法律事務所

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震災法律相談Q&A

原発事故による風評被害(4)-今回の風評被害-

A:さまざまな風評被害の発生が指摘されており、今後も広がっていくと思われます。
事故発生後直ちに問題とされたのは、屋内退避・自主避難区域とされた原発から30キロメートルの圏外にもかかわらず、物流が停まってしまい、医薬品や食料が届かないという状況が生まれたことでした。
運送関連業者を中心として原発の近隣地域に立ち入ることを避けた結果と思われます。30キロメートル圏外ですので、この時点で具体的な汚染が確認されていたわけではありませんので、風評被害の問題となります。

A:大震災後に福島県及び近隣の県で採れたホウレン草・カキナなどの葉物野菜や原乳から、食品衛生法の暫定基準値を超える放射性物質が検出され、出荷制限がなされました。
マスコミで大きく報道されると、出荷制限されていない一般の農作物についても福島産だというだけで価格が下落したり、取引を断られて市場に出回らなくなるという事態が生じました。

A:福島県と茨城県産のコウナゴという魚から高濃度の放射性物質が検出されました。
実は水産物については食品衛生法上、放射性物質の基準値が決められていなかったのですが、厚生労働省は直ちに暫定基準値を決めると同時に、コウナゴの出荷停止・摂取制限を指示しました。
このことがマスコミで大きく報道されると、福島県、茨城県の漁船が捕獲したコウナゴ以外の魚についても、まったく放射性物質が検出されていないのに、水揚げを拒否されたり、取引を断られたりすることが相次ぎ、そのことが報道されると、更に市場は買い控えを強めたのです。

A:福島県は名所旧跡や温泉に恵まれていて、観光業が盛んな県です。
ところが大震災による自粛ムードに加えて、原発事故による放射性物質の拡散が報道されてからは各地で旅行のキャンセルが相次ぎました。
会津若松などは原発から90キロメートル離れていて、モニタリングの値も正常値なのですが、一般の宿泊だけでなく、例年たくさんの生徒が訪れる修学旅行もほとんどがキャンセルになってしまったそうです。
福島県のみならず、隣県の宮城県でもモニタリングの値は基準値を超えていないのですが、ホテル・旅館といった観光業に甚大な影響を受けました。

A:以前お話しした原子力損害賠償紛争審査会は5月31日に第2次指針を公表しましたが、その中には農林漁業、観光業の風評被害に対する損害賠償についての考え方が示されています。
次回はその内容について具体的に説明します。

原子力の問題

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