保険の問題
地震保険
A:どのような保険に加入していたかによります。
火災保険だけに加入していた場合には、地震による火災のケースも含め、免責となり保険金の支払いはなされません。
火災保険に加えて地震保険に加入していた場合には、地震または地震による津波を直接・間接の原因とする火災・損壊・埋没・流出などの損害に対して保険金が支払われます。
A:支払われる保険金の金額は、地震保険契約で定めた保険金額(上限としての付保金額)と損害の程度によって決まります。
「全損」の場合には地震保険金額の全額、「半損」の場合には100分の50、「一部損」の場合には100分の5の保険金が支払われます。
ただし、建物時価が保険金額よりも低い場合には、その建物時価を基準に上記割合で保険金が支払われます。
なお、「一部損」に当たらない損害の場合には、保険金は支払われません。
A:判断基準は以下のとおりです。なお、倒壊などの危険により居住不能となった場合も「全損」とみなされます。
実際の認定作業は、保険会社の社員等が被保険者立ち会いのもと調査して行います。
ただし、今回の震災で甚大な被害を受けた地域については、個々の調査を省略して全損認定を行うことも検討されています。
A:生活の用に供する家具、什器、衣服その他生活に通常必要な動産については地震保険の対象になります。これらの生活用動産についても、「全損」「半損」「一部損」の認定をもとに保険金が支払われます。なお、貴金属や現金、預金証書、自動車、商品や営業用備品などは地震保険の対象外となります。
A:日本損害保険協会に問い合わせれば契約している保険会社を調べて教えてくれるようです。
また、保険証券がなくても保険金の請求はできます。
A:保険金の請求権についての消滅時効は3年とされています(保険法95条1項)。
A:地震保険の対象は、居住用建物と生活用動産に限られ、工場や事務所などの事業用建物は含みません。
自宅兼事務所のような併用住宅については、地震保険を付保することは可能ですが、契約内容によっては保険の対象が居住用部分に限られる場合があります。
事業用建物については、火災保険に地震危険拡張担保特約を付けることによって地震に備えることはできます。
ただし、同特約は、保険料も高額で、また加入自体断られることもあるようです。
詳しくは各保険会社にお問い合わせ下さい。
駐車場での事故
A:不注意で後ろに大きく下がって相手の車に損傷を与えたような場合には、民法709条の不法行為として損害賠償の責任を負います。
しかしながら、今回のような震度7というような未曾有の大地震による場合には不可抗力として責任を負わないことになると思います。
A:対物保険を含む自動車保険約款には、他人に損害を与えたとしても保険金を支払わない事由を定めています。
いわゆる免責事由と言われているものです、地震・噴火・津波も免責事由に入っていますので、保険金の支払いができないのです。
A:やはり車両保険にも免責事由があり、対物保険と同様に地震や津波がそこに入っているので、基本的には車両保険も下りません。
但し、地震・噴火・津波の場合にも保険金が下りるような地震特約等付の車両保険もあるので、確認してもらう必要があります。
車両保険から相手方に保険金が下りた場合は、通常は支払いをした保険会社から原因を作った者に求償されるのですが、今回は不可抗力ですので、保険会社は求償できないと思います。
A:立体駐車場に車を停めるのは一種の契約になります。
契約関係において不注意で相手に損害を与えた場合には債務不履行として損害賠償の義務を負わなければなりませんが、今回の地震は不可抗力ですので、駐車場の責任を追及するのは難しいと思います。
自動車の水没
A:自動車が壊れて使用できなくなった場合でもローンの残金は支払わなければなりません。
もっとも、保険でカバーされる場合があるため、契約している保険の内容を確認してみる必要があります。
A:いえ、一般的な車両保険では、約款上「地震もしくは噴火またはこれらによる津波、あるいはこれらに伴って発生した事故によって生じた損害」については保険金を支払わない、とされています(免責条項)。したがって、一般的な車両保険だけでは今回はカバーされません。
ただし、地震・噴火・津波危険車両損害担保特約という特約があり、この特約に加入していた場合には、保険金を請求できます。
まずは特約に加入しているかどうかを含め、契約している保険会社に保険内容を確認することが必要です。ただし、付保率は高くないようです。
A:車検証上の所有者が信販会社になっているのは所有権留保といわれるもので、信販会社が代金の支払いを担保するためにローンが完済されるまでは所有権を移転しないのです。
このような状態で廃車手続きをするためには所有権者の承諾が必要になりますので、信販会社等に相談してみてください。
生命保険について
A:生命保険では、被保険者の死亡の原因が災害であったとしても、保険金は原則として支払われます。
各保険会社の約款では、地震等の際には保険金を削減したり支払わないことができるとの免責条項があることが多いですが、今回の大震災については、すべての保険会社がこの免責条項を適用せず満額支払うことを表明しています(社団法人生命保険協会HP参照)。
また、「災害特約」を付けていた場合には、保険金が増額されることになります。
A:保険金の請求権についての消滅時効は3年とされています(保険法95条1項)。
A:保険金を請求する際には保険証券を含む書類の提出が必要となりますが、保険証券は紛失した場合にも保険会社から再発行してもらうことができます。
また、今回の震災では、多くの方が保険証券や印鑑等を紛失していたため、金融庁と日本銀行は地震当日に保険会社に対して、保険証券や印鑑を紛失している場合でも可能な限り柔軟な措置を講じ、支払いも迅速に行うように要請しました。
具体的には各保険会社に問い合わせてみて下さい。
A:受取人が死亡した場合には、本来は被保険者が受取人の再指定をすることになります。
しかし、今回の震災のように、被保険者と受取人とが同時に死亡したとき(再指定をする前に死亡したとき)には、受取人の法定相続人が保険金請求権を相続することになります。
ただし、かんぽ生命保険(旧郵貯)の簡易生命保険の場合は、上記の取り扱いと異なり、被保険者の「遺族」が新たな受取人となります。詳しくはかんぽ生命に問い合わせてみて下さい。
A:生命保険では、被保険者が死亡したときに保険会社に保険金支払義務が生じます(被保険者が死亡したことを証明する書類の提出が必要になります。)。
したがって、行方不明の状態のままでは保険金の支払いを受けることはできません。
しかし、利害関係人の請求により家庭裁判所から失踪宣告を受けた場合には(民法30条)、法律上死亡したとみなされ(同31条)、相続開始等の効果が生じるとともに、保険金の支払いを受けることも可能となります。
なお、保険金の支払いを受けるためには、死亡したとみなされる効力が生じるまで生命保険が有効である必要があります。失踪宣告を受けるまでの保険料の支払いについては、各保険会社に問い合わせてみて下さい。